非モテ必見の映画??


タクシードライバー コレクターズ・エディション
タクシードライバー コレクターズ・エディションポール・シュレイダー マーティン・スコセッシ ロバート・デ・ニーロ

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2005-12-16
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おすすめ平均 star
star現代社会に巣食う影の人間像
star影響受けすぎないように
starYou talkin' to me ?

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いや、コイツの非モテっぷりは凄まじい。


ストーリーは掻い摘んで言うと「深夜のタクシードライバーとして働く元海兵隊員の主人公・トラヴィスが、孤独感に苛まれるうちに、いつからかニューヨークの街の毒気に当てられ、「街の悪人達を一掃する」という妄執に取り付かれていく」というもの。
ただでさえヤバげなストーリーなんだけど、さらに若かりし頃のロバート・デ・ニーロが迫真のキチガイ演技を見せて、ヤバさに拍車をかけている。
あまりにもイっちゃってる主人公に好き嫌いが真っ二つに分かれるだろうけど、ハマる人はとことんハマる、ある意味カルト的な作品だ。



で、ココで言及したいのは主人公・トラヴィス非モテっぷり。
街でタクシーを流してるうちに、とある大統領候補の選挙管理事務所で働いてたベッツィに一目惚れしてストーキング(「掃き溜めに鶴」「まさに天使」と理想像をエスカレートさせていく様が、また痛々しい)。
そして、首尾よく昼食に誘う事に成功するも、その席で「キミとボクは似ている」等と口説き始め、さらにはベッツィの同僚のアフロ男を扱き下ろし(アイツはマトモじゃない云々)て、ベッツィに呆れられてしまう。
極めつけはデートで映画に誘った時。
全然イケてない格好で(下図参照)デートに現れ(トラヴィス的には必死で洒落たつもりだったんだろう)、ベッツィの好きな歌手のレコードをプレゼントしたまでは良かったものの、功を焦るあまり(?)何とポルノ映画に誘っちゃって手酷くフラれてしまう(当たり前)。
その後、しつこく電話をかけ、花を大量に(洗面所一杯になるくらい)送り、しまいにはベッツィの勤める選挙事務所に殴りこんで暴言を吐き、アフロ男に追い返されてしまう。
そして、自業自得のクセに「彼女もオレを理解してくれなかった」等と恨み言を連ねてさらに鬱屈してしまうという、まさに非モテ街道まっしぐら!
あまりの非モテっぷりに涙が出てくる。



そして後半、13歳の娼婦アイリス(子役時代のジョディ・フォスターが熱演!)と出会ってから、トラヴィスの運命が変わる。
汚い街に対する怒りと誰にも認められない鬱屈が爆発し、拳銃を買い占め、体を鍛え上げ、射撃練習に精を出し、英雄になった自分を妄想して悦に入る・・・と、暴走ぶりがエスカレートしていく(特に、鏡に向かって拳銃を構えながら「You talkin' to me?」を繰り返して悦に入るシーンは必見!)。
シークレットサービスに就職してベッツィと結婚する事を妄想し、恋愛ドラマにブチ切れてテレビをぶっ壊し、狂気の行き着くところまでイっちゃったトラヴィスはついに大統領候補暗殺計画を決行!
モヒカン刈りの頭とグラサン、M-65ジャケットを羽織って大統領候補に近づくも暗殺失敗。
その足でそのまま、アイリスを助ける(という名目の)ために娼館に乗り込んでポン引きどもを一掃する。
カタルシスも爽快感も何も無い、血と肉片と銃弾が飛び散る中で、返り血を全身に浴びながらひたすら虐殺を繰り広げるトラヴィスの恍惚とした眼差しは、まさに狂気の極み!
妄執に取り憑かれた非モテ男の行き着く先は、英雄か、それとも単なる殺人者なのか・・・・・・。




それにしても、ロバート・デ・ニーロの演技は凄まじい!
個人的に一番凄いと思ったのは”目”。
前半の鬱屈とした場面での、まさに腐った魚のような”目”。
中盤、ベッツィを見つめる時の、全身を舐め回すかのようなイヤらしい”目”。
そして後半、完全にイっちゃってる時の、瞳孔が開ききって焦点の定まらない”目”・・・。
目だけでココまで演じ切るコトができるデ・ニーロは、やっぱり名優中の名優なんだろうなぁ。




とにかく、非モテを自認するなら一度は見ておいても損は無い映画だと思う。
かくいうオレも、トラヴィス非モテっぷりに共感して、何10回となく繰り返して観た。
当時(10年くらい前)のオレはソレだけ鬱屈してたわけだ。
そして、今もその鬱屈が頭をもたげて来ることがある。
やっぱりオレも非モテなんだなぁ・・・・・・。



PS:

作中のトラヴィスのファッションにも注目!
前半はチェックネルシャツにタンカースジャケットを羽織ってボトムはジーンズとウェスタンブーツ。
そして狂気に取り憑かれてからは、白いウェスタンシャツにM-65ジャケット。
ブーツにはナイフを仕込み、シャツの右袖は切ってソコに小型拳銃を隠し持つ(わざわざその為の装置を作ってしまうあたり、トラヴィスの妄執ぶりが際立っている)。
「ミリタリー的アメカジ」の一つの典型例と言えるのでは?
今見ても十分カッコイイと思う(サスガに銃器類は持ち歩けないケド)。


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ところで↑の本によると、トラヴィスが履いてたのはLEEの101Zらしい。
ソレを聞いて、LEE101が強烈に欲しくなっちゃった・・・。

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