3月終了アニメの私的総括
いよいよ4月の大改編期。
それとともに、怒涛のアニメ最終回ラッシュ!
特に今3月期はオレ的にお気に入りのアニメが軒並み最終回なもんだから、非常に寂しい。
そんなわけで、今日は3月終了アニメの私的総括ということで、お気に入りアニメの評価と寸評を書き連ねていってみようと思う。
S(ネ申):
「おねがいマイメロディ」
この1年間で一番楽しんだアニメは何かと問われたら、迷わずマイメロを推す。
立ちに立ちまくったキャラクターたちが繰り広げるカオス、小ネタ、ブラックギャグを畳み掛けるようにぶつけてくるギャグアニメとしての完成度は比類が無い。
しかし、ソレだけで測れないところがマイメロの凄さ。
一人一人のキャラクターの個性とその内に秘めた想いが幾重にも重なり合って、1つの物語を織り成していくキャラクタードラマとしての完成度が抜群に高い!
子供達は「かわいいキャラたちが繰り広げるドタバタギャグ」を、大人たちは「キャラの持ってる黒さ、ネタのマニアックさ、そして完成度の高いストーリー」を楽しめる、全方位向きの傑作だった。
ナルホド、2期目が製作されるのも頷ける。
欠点は、各話ごとに出来・不出来の差がありすぎることか。
面白いときには神懸り的に面白いけど、そうじゃないときはソレほどでもない。
総じてレベルは高い話だけど、あまりに神懸り的な回の印象が強すぎるせいで、相対的にレベルが低く”感じて”しまうのは、贅沢な悩みと言うべきか。
個人的に「神懸り的」だと思ったのは、第2話・第4話・第8話・第11話・第16話・第21話・第23話・第29話・第33話・第35話・第36話(最高峰!)・第37話・第39話・第51話あたり。
あとは、後半に至ってネタ的に息切れ感が漂っていたのも気になるところ。
ネタ切れとマンネリをどう払拭するかが、2期目の最大の課題になるだろう。
A(傑作):
「ゾイドジェネシス」
バカ丁寧なストーリーテリングが何よりも強い印象を残した。
前半の何気ない描写が、後半に至って意味を持ってくる瞬間の驚きをここまで感じたのは、実にプラネテス以来じゃないか。
1つの作戦を、敵味方双方の視点を取り入れて事細かく描いていくその様は、架空戦記物としてのゾイドジェネシスの面目躍如と言える。
ただ、あまりにも計算立ち過ぎて、クライマックスの高揚感を感じなかったのも事実。
どちらかというと「あらかじめ想定された終局に向かって着実に1歩づつ進んでいってる」という感じで、高揚感よりもむしろ冷徹さを感じてしまった。
キャラにしてもそうで、あまりにも完璧超人過ぎたルージ、ライバルの割には出番が少なくてキャラが立たなかったザイリン、なぜあの場面であの行動に出たか全く意味不明なフェルミ、リーダーの割にひたすらヘタレるだけだったラ・カン等々、まるで「想定した話を進めるためにそういうキャラになりました」と言わんばかりのキャラメイキングだった。
レ・ミィとコトナも、どちらかというとマンガチックにカリカチュアライズされた感じのキャラで、リアルな戦記物としての特徴からすると浮き気味だったように感じる。
まぁ、日曜朝8:30という時間に、想定したターゲット(小学生くらいの男児)を合わせて考えると、ソレも致し方ないと言えるかも。
サスガに子供相手に、富野由悠季ばりのリアルで凄惨な描写はできないだろうし(でも「無敵超人ザンボット3」でソレをやってのけた富野という御仁はやはり異能だったと言うべきか)。
全体に、非常に丁寧に纏められた傑作であることは疑いようが無い。
それだけに、最終回で寸足らずに陥って、本来の(丁寧な)ゾイドジェネシスなら描いていたであろうエピローグが全く描かれなかったのが残念!
まさか福本作品が、コレほどのレベルでアニメ化できるとは・・・。
福本絵の特徴を見事に生かしたキャラクターデザイン、福本セリフの濃密さを見事に表現した脚本、それらを束ねた上で様々な技巧を縦横無尽に使って場の緊張感を盛り上げた演出、そして、そんなストーリーに息を吹き込んだキャストたちの抜群の演技力・・・。
非常にレベルの高い傑作だった。
それだけに、ラストの落ちの付け方が・・・。
・・・まぁ、そもそも未完のマンガを原作にした時点でしょうがないことではあるが(ジパングもそうだった)。
むしろ、苦心惨憺した上で、あの時点では最良の終わり方だったとは思うが。
未完作品のアニメ化としては、エアマスターを超える物は現れないんだろうか・・・。
役者陣はまさに好演。
冷たい狂気を漂わせるカリスマ・アカギ役の萩原聖人はモチロン、激しい狂気を振りまく暗黒の帝王・鷲巣役の津嘉山正種、安岡役の玄田哲章、仰木役の二又一成、そして何より、冷徹なナレーションで場を盛り上げた古谷徹の存在も忘れてはならない。
地味。非常に地味。
だが、その地味さ加減が抜群のリアリティを醸し出していた。
普段、誰の目にも触れないような自衛隊レスキューチームの仕事振りを事細かに描写し、生活感溢れる日常の中に突如として起こる「災害」と言う名の非日常を鮮烈に印象付けた。
助ける者、助けられる者、命を落とす者、命拾いをする者、その関係者、当事者、第三者、それぞれの視点を巧みに織り込んで、「人の生き死にの際」を鮮やかに描き出す手腕は見事!
一切の媚び、ステロタイプなキャラ、安易なハッピーエンド等を排除したその作風は、まさに硬派と呼ぶにふさわしい。
レスキュー隊員達の心情を熱く歌い上げたED「エンブレム〜名も無き英雄達へ〜」も、影山ヒロノブの熱唱と相まって強い印象を残した。
ただ、これだけ多岐にわたる視点を盛り込んだストーリーは、全12話じゃ全然足りなかった。
この作品こそ、全26話でやるべきだっただろう。
そうすれば、キャラクターたちそれぞれの心情をより深く掘り下げる事が出来ただろうに・・・(特に本郷三佐)。
地味ながら一切の”媚び”が無い硬質なストーリーは今の時代じゃ珍く、その意味でも貴重な傑作だった。
これほどの作品がたった12話とはいえ放映出来たことを喜ぶべきか、それともたった12話しか放映出来なかった今のアニメ界の現状を嘆くべきか・・・・・・。
B(面白い):
「甲虫王者ムシキング 森の民の伝説」
3月終了アニメの中では、一番綺麗な終わり方をしたのがコレ。
「自然と人間の共存」「生きて命を育む事の大切さ」を最後の最後まで訴えつづけて、kiroroの歌う主題歌「生きてこそ
」に乗せて一つの到達点を見事に描き出した最終回は、大傑作レベルだったと断言できる。
それだけに、中盤あたりのグダグダ感が惜しかった。
テーマ性に縛られてストーリーが迷走、キャラクターの性格や行動もテーマに合わせて都合よくコロコロと入れ替わり、まるで「テーマを語るための奴隷」にしかなっていなかった感がある(そのあたり「ストーリーを語るため」にキャラ性を犠牲にしたゾイドジェンシスと似ている)。
大人気ゲームの「ムシキング」を題材にしながら、安易なバトルに走らず、叙事詩的な壮大なストーリーと深いテーマ性を追求しようとしたその志は高く評価できる。
ただ、その志にスタッフの力量が追いついていってなかったのが悔やまれる。
C(観切り):
「ふしぎ星のふたご姫」
子供向けとはいえ、あまりにも幼稚なストーリー、毒にも薬にもならない凡庸ぶりがイヤで観切り。
同じ女児向けとしては「マイメロ」という大傑作とは比ぶべくもない位ユルユルで、何か「お子様向けだし、コレくらいでいいだろう」というスタッフの(子供を舐めきった)姿勢が垣間見えてしまう(その辺は「プリキュア」と似ている)。
それでも2期目が作られるというコトは、それなりの人気はあったんだろうが・・・。
「交響詩篇エウレカセブン」
最初の1クールですら、おかしな謎を散りばめるだけ散りばめて視聴者を煙に巻く姿勢に嫌気が差していたというのに、2クール目からはレントンとエウレカの痴話ゲンカを延々と垂れ流し始めて気分が滅入ってしまい、そのまま観切り。
友人の言うには「2クール目のグダグダを乗り切って3クール目は面白くなったけど、4クール目に入ってまたグダグダやり始めて結局はビミョーだった」と言うコトらしい。
結局、早めに観切ってて正解だったと言うコトか・・・。
D(ソレ以外):
そもそも観てないのばっかりなんで評価できませ〜ん!
ざっとこんな感じだった。
さて、4月期の新番は果たしてどうなるのか。
去年の4月期では「マイメロ」と「ゾイドジェネシス」を輩出しただけに、ちょっと期待したいところだが・・・。