2005年オレ的TVアニメアカデミー賞 結果発表!3
「2005年オレ的TVアニメアカデミー賞」
今日はイヨイヨ主要賞の発表だ!
では行ってみよう!
●キャラクターデザイン賞
1:宮川知子(おねがいマイメロディ)
2:坂井久太(ゾイドジェネシス)
3:梅原隆弘(闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才)
4:金澤比呂司(マシュマロ通信)
5:馬越嘉彦(ジパング)
たくさんのキャラクターをそれぞれ個性的に描けることが「キャラクタードラマ」を描くときの最重要課題だとするなら、「マイメロ」のソレはまさにカンペキだった。
人間側、マリーランド側、それぞれに個性的でアクの強いキャラが入り乱れて繰り広げるドラマを、各々の個性を十分に生かしたデザインで支えた宮川知子の技術は見事。
「可愛らしい」というイメージが完全に出来上がっていた「マイメロディ」というキャラを、「微妙に可愛くない」という方向にデザインし直したことで、アニメ版マイメロの持つ黒さ・ヤバさを表現したところなど(不可抗力ではあったろうが)まさに慧眼だったと言える。
2位の「ゾイドジェネシス」も、キャラクターデザインとしてのレベルは非常に高い。
「ぴたテン」や「苺ましまろ」等で既に「萌え絵師」としての地位を築き上げた坂井久太だが、今作ではレ・ミィやコトナといった従来型萌えキャラ以上に、周りを取り巻くラ・カンやガラガ、セイジュウロウ、ダ・ジン、テイ・ゼ、ジーン大将等の「おやじキャラ」の印象が強い。
従来の「萌えキャラ」だけではなく、こういった「おやじキャラ」でも抜群の上手さを見せ付け、キャラクターデザイナーとしての成熟振りを印象付けた。
3位の「アカギ」は、何と言っても”あの”福本絵を「動かした」という事が驚異的!
福本絵のテイストを生かしつつ多少マッチョ方面に振った事で、作品に力強さを与えている。
4位の「マシュマロ通信」は去年の覇者。
非常に個性的でアクの強い絵柄を見事にアニメに落とし込んで、作品の個性に繋げていた。
5位の「ジパング」も、やはり「アカギ」と同じ様に、かわぐちかいじの骨太な絵柄を上手くアニメに落とし込んで見事だった。
●シリーズ構成賞
1:西園悟(ゾイドジェネシス)
2:千葉克彦・岡崎純子(陰陽大戦記)
3:古橋一浩(ジパング)
4:吉田玲子(甲虫王者ムシキング 森の民の伝説)
5:山田隆司(おねがいマイメロディ)
バカが付くほどバカ丁寧なストーリー構成で「ゾイドジェネシス」の西園悟が受賞。
ありとあらゆる伏線を丁寧に昇華し、1つの大きなストーリーの流れを紡ぎあげていくその手腕は見事と言うほかない。
ブレない中心線がシッカリしているお陰で、キャラの行動にも説得力が生まれ、ソレがさらにキャラの魅力となり、そのキャラを生かしてさらにストーリーの密度を上げていく・・・まさに「正のスパイラル」!
「シリーズ構成の教科書」とでも言いたくなるカンペキさだ。
2位につけた「陰陽大戦記」は「ゾイドジェネス」とは全く逆に、多少のストーリー展開の粗さを、キャラの魅力とパワーだけで押し切っていく力業的なアプローチを取っている。
個性的なキャラや燃える展開を敢えて「使い捨て」る事によって、逆にストーリーの濃密さを際立たせると言う、ある意味「奇策」とも言える手段が見事に効果的だった。
最後の1クールで息切れしてしまったのが悔やまれる。
3位の「ジパング」だが、原作は現在も連載中(しかも、未だ終わりが見えない)という状況で、とりあえず一区切りといえる「横須賀帰還」のシークエンスを最終回に持ってきたのは懸命な判断だった。
そして、その最終局面に至るまでのエピソードもキチンと原作通り抜かりなく配置し、その上で「1話30分」という区切りを生かして「次回を期待させる」ように仕向けるその手腕は大したものだった。
子供達に大人気の「ムシキング」を映像化するにあたって、そこに「森の神聖さと残酷さ」「大自然と人間の共存」「親と子の断絶と和解」という重いテーマを盛り込んで、一種荘厳な叙事詩に仕立て上げた吉田玲子が4位にランクイン。
ただ、その壮大なテーマに個々のエピソードやキャラ描写が追いついていってない部分も多々散見されるのが残念。
志の高さを買っての第4位。
「マイメロ」は第5位だったが、「1話完結のコメディアニメ」が「シリーズ構成」という括りで評価できると言う事実が、逆に「マイメロ」の異質さを際立たせている。
特に、シリーズ構成が山田隆司に移ってからは「過去のエピソードやキャラクターの効果的な使い回し」「次回以降への伏線の巧みさ」という特長が顕著になってきていて秀逸。
●監督賞
1:古橋一浩(ジパング)
2:菱田正和(陰陽大戦記)
3:佐藤雄三(闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才)
4:山内重保(甲虫王者ムシキング 森の民の伝説)
5:森脇真琴(おねがいマイメロディ)
「骨太さ」で売る大ベストセラーマンガを、その「骨太さ」を生かす方向で演出した「ジパング」の古橋一浩が監督賞受賞。
小細工を一切使わない正統派の演出は、まさに骨太!
優れた原作に余計な小細工は必要ない、ひたすら「原作」を「演出」する事こそが重要だ!と言わんばかりの徹底したオーソドックスぶり。
その姿勢が、逆に”アニメ版”「ジパング」としての力強さを際立たせる結果となった。
2位の「陰陽大戦記」もオーソドックスだが、これまで数々のサンライズ子供向け作品で力を見せてきた菱田正和が、初監督となる本作ではまさに水を得た魚の如く怒涛の展開を繰り出して、見事に力感のある作品を作り出した。
新たな職人監督の誕生に敬意を表し第2位。
3位に入った「アカギ」の佐藤雄三は、上位2作品とは全く対照的にケレン味たっぷりの演出で堪能させる。
ただ卓を囲んで麻雀打ってるだけなのに、この緊張感!
ライティング、カメラワーク、カッティング・・・麻雀と言う「動きの少ない」題材を、ありとあらゆる技法を駆使して「魅せる」その手腕は抜群だった。
4位の山内重保も、同様にケレン味で押す。
光と影の対比、ソフトフォーカスがかった画面、キャラの心情に合わせた極端な色変化等、こちらもあらゆる技法を駆使して、作品に叙事詩的な荘厳さを与えている。
5位の森脇真琴は、長い演出経験を生かした高い技術で、アニメ版「マイメロ」のハチャメチャさ加減を際立たせて見事だった。
いよいよ明日は作品賞発表!!
・・・とその前に、取り合えず今のところの各作品の受賞部門数をおさらいしておこう。
3部門
おねがいマイメロディ(キャラクターデザイン、主題歌、助演女優)
2部門
陰陽大戦記(美術、主演男優)
ジパング(監督、助演男優)
ゾイドジェネシス(シリーズ構成、音楽)
1部門
マシュマロ通信(主演女優)
「おねがいマイメロディ」が3部門でトップ。
ソレを追う「陰陽大戦記」「ジパング」「ゾイドジェネシス」が2部門。
「マシュマロ通信」は主演女優賞のみで多少出遅れか・・・
果たして最終結果はいかに!