「身の丈」を知る


最近、エエカッコするのに疲れてきた。



例えば、昔は赤とかオレンジとかのセーターをよく着てたけど、最近はそういった鮮やかなアイテムを着るのがしんどくなってきた。
昔はどっかにいく時はコンタクトを入れてたけど、今じゃメガネばっかりになっている。
昔は外出の度に髪を整えていたのが、最近は帽子を被って誤魔化している。
香水もわりと持ってたけど、この1年位全く使ってない。
そういや、昔買った指輪とペンダントはドコにしまったっけか・・・・・・
最近は、トンとこんな調子だ。


ソレは最近のオレの買い物の傾向を見ると分るとおり。
今時エエカッコするためにシエラのマンパを買う人間がドコに居る。
ラクータのG9を買う人間がドコに居る。
インディビジュアライズドのチェックシャツを買う人間がドコに居る。
ニューバランスのM1700を買う人間がドコに居る。
ラコステのポロシャツも、パラブーツの靴も、リーバイス501も、いずれも所謂「カッコイイ」とは程遠いものばっかりだ。
恐らく「モテ」とは全く相容れない、全く真逆ともいえるアイテム群ではないか。
でも、今オレはそういうのを買い揃えたい気分なんだよね

      



逆に、所謂「カッコイイ服」「モテ服」にはあまり惹かれない。
例えば○井系とか。
流行ド直球の服は、確かにカッコイイけど、毎年ソレで10万以上吹っ飛んで、挙句来年になると「流行遅れのダサ服」になってしまうのはあまりに勿体無い。
いや、確かに過去には結構○井で散財したけどね。
タケ○キ○チやスクー○マンのストライプシャツとか、ムッ○ュニ○ルのコートやセーターとか、ポー○スミ○のマフラーとか・・・。
でも、その中で未だに残っているのはメ○ズ○ギのベージュのステンカラーコート1着のみ。
結局、スタンダードで着まわしの利く定番アイテムしか残らなかったわけだ。
そう考えると、例えソレが流行りだからって数万も出して買うのは非常にアホらしい気がしてくる。



あと、コレがもっと大きな理由なんだけど・・・・・・。



結局、オレには「カッコつけた格好」が似合わなかった。
○ール○ミスのストライプシャツを試着してみてあまりの似合わなさに愕然としてみたり、フレアカットのズボンを履いてみてあまりにもアンバランスなシルエットに頭を抱えてみたり・・・。
兎に角、オレはこの種のアイテムが全く似合わない。
多少痩せたとはいえモデル体型とは程遠いオレには、モデルが着てこそ映えるような派手で煌びやかでデザインされた細身の服なんか、そもそも似合うわけが無いのだ。
オレ自身が所謂「モード」とか「デザイナー」「コレクション」とかに全く興味が沸かないのも、結局オレが着たって似合うわけが無い服ばっかりだからだ(でも、トム・ブラウンにはちょっと興味があったり)。
そして、そんな「モード」の”後追い”である○井系にも全く興味が沸かないのも、けだし当然と言うべきか。



それに、いくらカッコつけても、今のオレとは全く相容れないんであればソレは意味が無いかなぁと。
カッコいい服を着てカッコ付けて、ソレが今のオレのキャラクターに合っているかというと、ソレも疑問だ。
いや、むしろヘンにカッコつけたせいで周りから「何アイツ?カッコつけ過ぎじゃね?」とか「エエカッコしてるくせに、彼女も居ないんだってさ(プゲラ」とか「アレでカッコつけてるつもり?ダッセー!」とか言われて論われているんじゃないかと思うと、エエカッコすること自体に非道い罪悪感を感じることもある。
(そのあたりは、ココを参考に。)
それに、たかだか3〜4年の積み重ねしかないオレがいくらエエカッコしようとしたところで、昔から本気でエエカッコを追求してきた生粋の洒落者や、エエカッコしなくてもカッコイイ人間や、格好つけなくても人生楽しんでいる人間に敵う訳が無い。
いや、むしろ必死こいてエエカッコしようとして、それでもカッコが付かないオレ自身が非道く惨めに思えてくるだけ。
そう思うと、カッコイイ服買って気張ってエエカッコするのにも疲れてくるし、そんな自分がアホらしく思えてさえも来る。



ただ、それなりにイイ物、定評のあるものを買って長く楽しむのはありかなと思う。
エエカッコするための服じゃなくて、より自分に合った服。
人が見て「おっ!いいじゃんそれ!」ではなく、オレが着てみて「おっ!コレはいい!」と思えるもの。
何の気なしにタンスから引っ張り出してさらっと着て、実はソレがイイ物だったりするような感覚。
フツーの人が見ても何も思わないけど、着てる本人は実に着心地のいい服・・・。
そういった「身の丈」に合った服こそが、実は一番いいんじゃないかと思う。



そう言えば、ユナイテッドアローズの栗野宏文氏がこんな事を言っていた。
「格好良すぎるものは格好悪い」
これなんか、まさにそうなんじゃないだろうか。
カッコ良すぎるのは不自然なだけ。
いくらエエカッコしても、ソレがキャラクターからあまりにもかけ離れすぎてしまっていては、逆にソノ人の価値を貶めるだけ。
「身の丈に合ったものを着る」というのが、実は最も重要なのであると・・・。
恐らく栗野氏は、そのことに対して十分自覚的なのだろう。



気張らず、楽に、永く愛用できる・・・
そんな服こそが、今のオレの「身の丈」なんじゃないだろうか。