何か違和感・・・


オレが毎月「Men's CLUB」を読んでいるというのは既に何度も書いた通り。
で、今月も早速買って読んでみたんだけど・・・


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・・・何なんだろう、この違和感は・・・・・・。




オレがメンクラに惹かれた最大の理由は、その硬派な姿勢。
他の雑誌が「ちょい不良(ワル)」とか「女子ウケ抜群!」とか「○○は今期のマストバイ!買うべし!!」とか、妙に下品な煽り記事ばっかりなのに対し、メンクラはそういうった下品さとは一線を画した節度を感じる記事が多かった。
載っている着こなしも、確かに面白味は無いけど、極めて常識的かつ清潔感の溢れる物ばかりで、そのストイックな上品さにはいたく感服することしきりだった。



でも、今月号は何か違う・・・。



「”素足ニスタ”の作り方」
「台襟”高っ”なシャツがタイトなシルエットで際立ちます」
「=命名”黒2(クロクロ)クロノ”」
「今夏は”濃・細・短ポロ”しかない!」
「「大きくなったね」と彼女も喜ぶ(!?)ユナイテッドアローズ別注のラコポロ」


等々・・・。



メンクラを一度でも読んだ事のある方なら、オレの感じた違和感を理解していただけるかも・・・。
そう、何か「下品」なんだよね。
↑のような煽り文句だって、例えば「LEON」とか「POPEYE」とか「Begin」とかに載ってるならそんなに違和感も無いんだけど(っていうか、それらの雑誌よりはまだ品を保ってる感じ)、硬派で売ってるメンクラがここまで品の無い煽り文句を多用するようになったのは、かなりショックだ。
ほんの数ヶ月前には「一生モノ大特集」なんて超硬派な特集を組んでたってのに・・・。



あと、冒頭のボッテガ・ヴェネタ特集や、一流メゾンの商品紹介(イブ・サンローランのブレスレット、エルメスのトートバッグ、ティファニーのキーリング、グッチのビットローファー等)にも違和感があった。
ボッテガ・ヴェネタなんて、従来のメンクラとは全く縁遠いブランドだったハズなのに(ホワイトハウス・コックスならまだ分かるけど)。
何か、「LEON」辺りに通じる「一流ブランド至上主義」的な、何かイヤな物を感じる。
本来、一流どころの高価格品よりも、質が高くてリーズナブルなアイテムをもっと重視していたハズなのに。
何か、あからさまに「広告費狙い」なイヤな感じがプンプンと漂っている気が・・・。



で、「もしや!」と思って調べてみたら・・・案の定、編集長が変わっていた。
新しい編集長T氏の経歴をネットで調べてみると・・・「uomo」編集統括に「Men's EX」編集長を歴任・・・



ナルホド、謎は全て解けた!



新しいメンクラの変わりようは、編集長が完全に交代したのが最大の理由だろう。
そう言われてみたら、確かに記事の感じとか紹介されているアイテムの感じ(価格や雰囲気)も「Men's EX」っぽい。
ホンの数ヶ月前までは、どちらかというとアメトラ方面っぽかったのに対して、今月は矢鱈とイタリア寄りな記事が目立つ(「ミラネーゼ、ミラネーゼ・・・」の連呼がウザい。ミラノの常識を日本に押し付けないで欲しい)のも、恐らく新編集長の趣味なのでは。
ただ、先月までは前編集長のK氏がまだ編集に関わっていた分、あまり違和感を感じなかったんだろう。
K氏は、度々紙面に登場しては様々な薀蓄を語る、トラッドファッションには一家言ある御仁だった。
そのK氏が完全に関わらなくなった今月から、後任のT氏の趣味、人脈(一流メゾンの新作紹介、ボッテガ・ヴェネタ特集等)が前面に出てしまって来たのではないだろうか。
とはいえ「Men's EX」もまた一大トラッド雑誌なわけだからそこまで的外れな人選でも無いんだろうけど、数ヶ月前の「Men's EX」と「Men's CLUB」で競作になった「一生モノ特集」でも選出アイテムに相当な隔たりがあった(「Men's EX」は一流どころの高価格アイテム中心、メンクラはヨーロッパ、アメリカの定番品を取り混ぜた、比較的リーズナブルなアイテム中心)から、そもそも相容れない部分があるんだろう。
そのあたりのバランスをどう整えて行くつもりなんだろうか・・・。



とはいえ、着方そのものはいつものメンクラらしい常識的で上品なものばかりで、その辺りは流石に歴史ある雑誌だなと思う。
あとは、上記のような品の無い煽り文句や、極端なイタリア礼賛、一流ブランド偏重主義、広告費狙いのあからさまなチョウチン記事等をもっと抑えることが出来ればいいんだろうけど。
そんなモノは他の雑誌でもイヤってほどやってるわけだし、メンクラはメンクラにしかできない、節度を守った上品で硬派な、そして比較的リーズナブルな「マジメ」路線を貫いて欲しいし、それこそがメンクラのメンクラたる所以じゃないんだろうかと思うんだけど。