T・P・O!T・P・O!


いい靴を履いている人を見かけた。
ストレートチップのダブルモンクストラップで、ノーズがスラリと伸びた繊細なデザイン。
手入れも行き届いているのか、深いブラウンの光沢が靴全体から放たれていた。
ソレに合わせるズボンはライトブラウンのウールパンツで、裾はダブル処理。
オレンジ色のストライプシャツの袖をまくり、オトナのリラックスムードさえ漂わせていた。
なかなかカッコイイじゃないか。





コレが夏コミ3日目でなければ!!





この夏の暑い時期、しかも記録的な猛暑が続くこのご時世に、厚手のウールズボンはねぇだろ!
しかも革靴って!
どうせ1日歩き回ってクタクタのヨレヨレになるのに、敢えてそんな靴を履いてくるのはどういう了見だろう。
ストライプシャツの腕まくりも、洒落者のハズし手段って言うより、ただ単に暑ってだけなんじゃないのか?




ココで、夏コミにおけるオタクの服装について書かれていた。
氏は「暖色系が少ない」という事にギモンを呈しているけど、オレの実感からすると↑みたいな格好よりは、寒色系の半袖シャツやジーンズ等を身に付けている方がずっと得心がいくし、夏コミという場の性格からしてむしろ合っているような気がする。
寒色系か暖色系か、そういうのは実は瑣末な問題なんじゃないだろうか。
(もう一つの「顔面の表情を使い込んでいない」に関しては、全面的に同意!)



↑のような服だって、初秋の銀座や青山辺りだと様になるかもしれない。
いや、例え有明ビッグサイトであっても、例えば企業のレセプション等ならそこまで問題は無いか知れない。
色合わせだって決定的に間違っているとは決して言えない。
でも真夏の、しかもコミケ3日目にその格好で並ぶというのはどう考えても解せない。
「ファッションとはT.P.Oである」というのはかの石津謙介氏の名言だけど、コレなどは明らかに「時」と「場所」と「目的」を取り違えているいい例だろう。



結局の所、根本的な問題は「T.P.Oを弁えた服装を選ぶ事が出来ない」という事に尽きるのではないだろうか。



コミケはカッコつけるところじゃない。
高温、高湿度の条件下を歩き回る過酷な戦いだ。
そんな場に、いくら「カッコいい」からって「暑っ苦しそうなウールパンツ」「繊細で、尚且つ足に対する負担の大きいレザーシューズ(ブーツはそれに類しない)」を身に付けるのは、明らかにT.P.Oに反する。



逆もまた真なり。
街中と言う、大して過酷な条件下ではない場所で、大袈裟なリュックサックやトレッキングシューズ、機能性一辺倒のナイロンパーカーやミルスペックのミリタリージャケット等のヘビーデューティ−ウェアで身を固めているオタクたちもまた、T.P.Oを理解していないという一点では同じではないだろうか。
寒色系、暖色系云々より、コッチの方の問題が大きいような気がするんだけど・・・。




ところで、当日のオレの格好は
「ブラウン地にオレンジラインのフレッドペリーのポロシャツ+白い高機能Tシャツ+色落ちしたブルージーンズ+ライトブラウンのニューバランスM1700
これにライトベージュのコットンハンチングにノースフェイスのベージュ+オレンジのリュックという出で立ちだった。
暖色系サイコー!
(暑苦しい色合いなのはさておき・・・w)